DQXとワイヤレスイヤホン2020年05月06日 14:30

時はバージョン5.x。
メインストーリーは魑魅魍魎が跋扈する魔界が舞台の我らがドラクエ10。(※1)
フィールドは常に暗く光もささずに禍々しい雰囲気であるが、今に至ってはゲームの世界だけでなく現実の世界でもコロナウイルスという大難によって世間は混沌とした雰囲気に包まれている。
そんな混沌とした状況において光と闇が同時に差し過ぎて天使と悪魔がキメラにドッキングして伏魔殿的な勢力となって混迷を極めている業界があることをご存じだろうか。
それは「ワイヤレスイヤホン」(※2)の業界である。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※話がクソ長くなるので、先に用途別で筆者のおすすめ製品を書いておきます。

・アイフォンで音楽聴く人
「AirPodsを買おう!」(¥20,000~)
せっかくアイフォン買ってるんだからそろえようよ!
高いけどアイフォン使うっていうのはそういう事じゃん!
同僚が言うには満員電車でほぼ途切れたことがなく快適だそうです。

・Andloid、TWS PLUS対応機種で音楽聴く人
「ヤマハ TW-E3A」(¥6,000~¥10,000)
クアルコムの「QCC3020」チップを搭載しておりメーカーの独自アプリもあるので、新しめのアンドロイドスマホ機種に時々搭載されているトゥルーワイヤレスステレオプラス機能に対応しているスマホをお持ちなら。
他にも探せば音の聞こえは違えど同じような安定性が望めて安くつく機種は多い。

・Andloidで音楽聴く人
「SOUNDPEATS Engine HD(首掛けタイプ)」(¥2,000~¥4,000)
筆者購入。ケーブル付きの首掛けタイプで完全ワイヤレスイヤホンではないものの、ワイヤレスイヤホンのエントリー機にはもってこい。
搭載しているクアルコムのチップ「QCC3034」はステレオタイプに奏でるチップで、同社のTWS PLUS機能と同等の安定性を望める。
実際使用した感じでは山手線でそこそこ乗客がいても安定している。
音はごく普通の安物イヤホン。
人気がないのかセール時は2000円程度で売っていることも。

・とりあえず金は積むから後悔しないやつクレ!
「ソニーかパナソニックの新しいやつを買おう!」(¥20,000~)
ただし値は張る。

以上、素人個人の見解なので参考程度にお願い致します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ある日筆者はワイヤレスイヤホンが唐突に欲しくなった。
通勤時にスマホに有線タイプのイヤホンを刺して音楽を聴いていたが、ふと周りがうどんみたいな線のないイヤホンをしているのを見て、急激に自分の持っている有線イヤホンがクソ邪魔に思えてきたのだ。
スマホにつなげる前には絡まった線をほぐしてやらねばならないし、線に触れて「ドンドン」という音が邪魔してくる(タッチノイズというらしい)のも気に食わなかった。
令和の時代、そろそろワイヤレスデビューしてもいいんじゃねーかと。
ワイヤレスでケーブルフリーでストレスフリーで優雅でスタイリッシュにすぎやまこういち先生の「序曲X」を聴いて幸せになろうじゃないかと。令和だし。

というわけで、アマゾーン(※3)らの通販サイトからこれらの無線でスタイリッシュなイヤホンを探したわけだが、なんかしらんが有名なものは1万円どころか2万以上するものばかりでクソ高い。
個人的な感覚では音質を追求するならまずはイヤホンではなく出力側(ウォークマンだったり、DACといわれるやつだったり)に金をぶち込んだ方がいいと思っているので、人生初のワイヤレスイヤホンにこの金額を出す行為は躊躇した。
かといって1万未満だと多少知ったメーカーのもあるが色々ありすぎてよくわからない。
こういう時は新進気鋭のこれから伸びそうなマイナーメーカーを選ぶに限るということで有線イヤホンでそれなりの評価があったMUIX(ミュイクス)ブランドの新製品「MX100」(※4)というものを6千円程でポチッた。
まぁ、国内量販店でも扱いのあったブランドなので大丈夫でしょうと。
それが筆者の復讐劇の始まりであった…。

製品が届いてウッキウキで装着。おっ、割とフィット感がいいね!(※5)これがワイヤレスイヤホンの世界かー、いい買い物をしたな!
と上機嫌で通勤にもっていく。
都内勤務なのでもちろん朝は超ラッシュ。
♪~~ブチッ~♪ブチブチッ♪~ブチ♪~♪~♪ブチッ
うぅおぉおぉぉぉおおお~~~~~い!
音が途中で切れまくって全然使えねぇ!!
ワイヤレスダメじゃねぇかバカヤロー!!!

ゴミだ!ゴミだ!!ゴミだ!!!
なにがコスパ抜群だバカヤロー!!
ゴミにコスパなんかねーぞ 

             異
 ナンチョン企業がーッ!!!!(※6)
というわけで私の処女ワイヤレスイヤホンはスポーツジム専門イヤホンに(ゴミ)なりますた。
ワールドワイドウェブにこいつの忖度レビュー乗っけてたeイヤホンとかいうイキったお店にチンパンジーのフリしてクソ投げたい。
ああもう!

というわけでワイヤレスイヤホンの世界を完全に舐めてました。
まさか東京で売ってるものに東京で使えない家電製品があるとは。
しかしこの失敗を顧みて、生かすのが一流である(なんの?)。
「安物買いの銭失い」という言葉は古い。この令和の時代にふさわしいことわざとは「情報強者の節制術」である。(※7)
で、令和2年初頭あたりからこのワイヤレスイヤホンの世界についてググれる範囲で徹底的に調べてみたのだ。
そして分かった事が、めっっっちゃ技術の説明が細かくて製品の内容が分かり辛いという事。
おかげで素人が製品の違いに気づきにくいのをいい事に中国資本の変なブランドが入り混じって謎な仕様のワイヤレスイヤホンを低価格帯にぶちまけているのでものすごくカオスな市場である事。
さらにそういう謎仕様のワイヤレスイヤホンを提供されてレビューするブロガーどもの忖度がヤバイこと。
ガチ混沌!!!
アマゾーンの商品レビューとかは10中9以上が商品提供された人のレビューばかりである。ヤバイ。(※8)
でもこのヤバさ。私は10年そこら前にどこかで体感しているような…

そうだ!昔のパチンコ屋のイベント案内メールだよ!
息をするようにガセイベントを案内し、朝の客が諦めてまばらになるお昼ごろにはお茶を濁すようにHI設定とか鉄板とか言ったりする。でもね、HI設定鉄板っていうのはお店の都合で設定2にでも1にでもなるんだよウウフ的な。
しかしごくごく稀に本当(ガチ)の一文があったりする。
さぁメール送信者の心の機微を貴方は見抜けるかな!?的な。
これだこれ!この殺伐とした混沌の世界観!

「防水レベル6だよ~」防水なのはケーブル部分だけでした
「ノイズキャンセリング搭載だよ~」通話の時だけです
「令和最新Bluetooth5.xだよ~」混雑時音の切断には関係ない
「クァルコム製チップでTWSだよ~」色んな意味でヤバイ(※9)

あの手この手の本当っちゃ本当だけどオチのある宣伝文句をバシバシと容赦なく投げかけてきやがっている。
ならばと買った人?(もらった人)のレビューを眺めたらば、抽象的に音のヌケがどうこうと当たり障りのない話ばかりで、製品の細かい仕様に触れているものはほとんどない。低評価のものは不良品だったとかすぐ壊れたとか、それはそれで具体的な仕様が残念だった的な事を書いてくれている人がほとんどいない。
いやいやいや。
安いイヤホン探している人なんて音質や堅牢性なんか二の次だ。
まずは「ワイヤレスイヤホン」として使えるものを探しているのだ。
音が良いとか高音がしなるとか低音が腹にくるとかドンシャリ(※10)がドーンでノリオで斜氷外れてドーン!みたいな話以前に、人ごみで使ったら音がブチブチ切れるようなイヤホンなんて製品以前の問題で使い物にならないでしょう?という事なんですよ。
もちろん人によっては大き目の音量で聴くからあまり音漏れしないやつがいいとか仕様で譲れない部分はあるとは思うが、よっぽど人の少ない田舎とかに住んでなければまずは安定性じゃないかなあと。
忖度クソレビューはガチでこういう仕様に触れない。っつーか家で一回使ったらメルカリにでも流してるんだろ!ってレベルである。
内容物がわかるように写真を撮ってあるのだけは助かるけれども。
ユーザーの目的としては良い製品にたどりつければいいので全ての忖度レビューが悪いというわけではないが、マトモな商品解説レビューが埋もれてしょうもないレビューだらけになってしまっている現状は辟易するものがある。良心的なレビューを探せば探すほど、価値のないレビューが大量に目に飛び込んで来るのだった。
で、クソレビューを潜り抜けて、数少ない個人の良心的なレビューやプレリリース記事を漁って分かった事。
それはワイヤレスイヤホンにおいてまず大事なのは、搭載されているチップが何かという事だ。
チップの種類でブルートゥース通信の安定性がある程度読める。

というわけで安いワイヤレスイヤホンの搭載チップに注目して評価を比較してみますた。
・ゴミ
蟹(Realtek)、安物でチップ記載なしの製品(※11)

・割と安定しているらしい
Airoha「AB1532」
※ソニーがこれじゃないけどこのメーカーのチップを元にカスタマイズしてるらしいです MCSync機能搭載(※9)

・安定度が高めの信頼のクアルコム社製チップ
「QCC3020」「QCC3026」「QCC3034(首掛けタイプ等)」(※12)
※Andloid機のCPU(Soc)を作っているメーカー。前二つはTWS PLUS機能搭載

こんな感じである。
しかしQCC3020搭載と書かれていても安心してはいけない。
相手は大技寝技、なんでもござれの中国様だ。
たとえば昔からPCパーツ界隈ではリマーク品事件なるものが横行している。インテルSSDチップの不合格品をどういう経路でか横流しして、安い値段で「インテルチップ搭載SSD」と銘打って販売してみますたってやつだね!(※13)
それ以外でも単純に偽物パーツをアマゾーンで平気で売ってたり。
けれども時には真摯に薄利多売で満足度の高い商品を提供している会社もある…それがイケイケドンドンのかの国なのだ。
貴方が聞きなれないメーカーのワイヤレスイヤホンを買う時は、製品仕様が合格点だとしても、その会社が信頼できるものなのかどうかは必ず調べておいていただきたい。
そしてスタイリッシュでセンシティブな良きドラクエ音楽ライフを。

【とどのつまり】 (↓クリックorタップでめくれます↓
いい大人なんだから3万円くらい出せばいいじゃない。
 

~~オマケ・どうでもいい注釈~~
※1 魑魅魍魎が跋扈する魔界が舞台の我らがドラクエ10。
・最近プレイヤーの方がニュースで取り上げられたりしたからってそういう事を言ってるわけじゃないよ?
しかし、オーディオ界隈はこの言葉通り本当に魔窟。
安物を買ってるのに音質に拘って文句言ってみる人もいれば、高価な機材を買っているのによくよく話を聞いてみれば再生ファイルがMP3の128kbpsだったりする人などがいて無茶苦茶。あと抽象的な言葉で結果を表現するのはパチの世界とよく似ている。
なお今回は音質の事など彼方に放り投げて安いワイヤレスイヤホンを買う時に気にすべき通信性に絞って話しておりますので、気になる方はオーディオレビューの沼へと足を運んでみてください。
上手に情報を取捨選択して身の丈に合ったよき音楽ライフを。

※2 ワイヤレスイヤホン
・ケーブル付きの首掛けタイプとケーブルのないタイプを纏めてこう呼ぶ。その中でもケーブルのないタイプは完全ワイヤレスイヤホンと呼ばれている。
海外では完全ワイヤレスイヤホンの事はトゥルーワイヤレスステレオ(TWS)と呼ぶのだが、これがある混乱を招く結果となる。

※3 アマゾーン
・ジ アマゾンロード(ラスター)の激アマTIME高確率抽選状態のこと。他だと通販サイト。

※4 MX100
・MIDIで遊んでた時期があったので、保有していたヤマハのシンセサイザーMU100に名前が似ていたから懐かしくなってつい買ってしまった。バカである。MX100は本文で述べている通りゴミ。

※5 フィット感
・合わないと簡単に落とす事になるし、高級機ではここをオーダーメイドにして一番金がかかる箇所と言われるほどなので割と大事な模様。余裕がある人は店頭でかけ心地を試そう。

※6 ※※※!!!!
・MUIXブランドのISOUNDは韓国のメーカーなのだそうです。
ぼくじしんかのくにはスロプじだいにまとまったおかねをかんせつてきにくれたからだいすきです。

※7 「情報強者の節制術」である
・うまい事いったつもりになっているが既にこの時点で安物買いの銭失いをしており意味不明。

※8 アマゾーンの商品レビューとかは10中9以上が商品提供された人のレビューばかりである。ヤバイ。
ヤバイ。
「夫に贈り物として購入しました!喜んでもらいました!☆5」
「とてもいい買い物をしました。大切に使わせてもらいます。☆5」
「Bluetooth 5.0にも対応していて、通信状態の安定、応答速度の向上していて、音のずれもなくとても快適に音の楽しむことができます。☆5」
ヤバイ。

※9 クァルコム製チップでTWS
・そもそも海外ではケーブルのない完全ワイヤレスイヤホンの事をTWS(トゥルーワイヤレスステレオ)と呼んでいる。
そのうえで、イヤホンの音楽再生やブルートゥース通信に関わるチップを作っている大手のクアルコム社が、最近になって接続の安定性向上を目的とした「TWS PLUS(トゥルーワイヤレスステレオプラス )」という機能を搭載した新チップを作ったのだ。
「TWS PLUS」とはCPUにSnapdragon855や845などを搭載したAndloidスマホ機種の一部で有効になるブルートゥースの安定性向上を図る機能なのだが、対応スマホがまだほとんどない。
おかげでTWS PLUSと呼ばれる機能の安定性を期待して買ったのに持っているスマホ等の音楽プレイヤー機器がTWS PLUSに対応してなくて割高なのに安定性が悪いなとユーザーが勘違いするなど市場が困惑気味。
そこにTWS PLUSに対応していない古いクアルコムのチップを搭載した機種をしてTWSだよ~とアピールして「TWS PLUS」をミスリードするヤバイ輩もいる始末なのだ。と、自分で言っててもわけがわからん。これだからこの界隈の話をするのは嫌なんだ(じゃあ書くなよ)
ちなみにAiroha社のMCSync機能というのは、やってることはこのTWS PLUS機能と大体同じ。

※10 ドンシャリ
・中音域が充実していない音という定義はあるらしいのだが、長らく使い手の解釈が曖昧でオーディオレビュー界隈が混沌とする一因の言葉。
ちなみに筆者は昔、パソコンでの音楽取り込みではmp3を128kbps以下の低解像度で取り込むと音がシャリシャリという割れたような感じになっていた為、それの事かと思っていた。

※11 蟹(Realtek)
・ゴミ。
WIFI(無線LAN)でも名前を見かけるというかそっちがメインだが、普段使いなら良いけどドラクエ10みたいなネットゲームをやるなら安い蟹製のものは避けよう。

※12 「QCC3020」「QCC3026」「QCC3034」
・「QCC3020」「QCC3026」は1つだとモノラルタイプでケーブルのない分離された完全ワイヤレス用に用意されたブルートゥース搭載チップ。
「QCC3034」というのは1つでステレオタイプなので主に首掛けタイプのワイヤレスイヤホン用に用意されたブルートゥース搭載チップ。通信箇所は一つなので同時期に開発された上記2種より接続が安定する。人気が無いのかこれを搭載している製品の値段は安めの傾向にあるので、完全ワイヤレスに拘らないのならねらい目。

※13 リマーク品事件
「colorful ssd 炎上」などで検索してみよう!


ランキングバナー